クラウドコンピューティング
クラウドコンピューティングは、サーバーやストレージといった IT リソースをインターネット経由で必要なときに利用できる仕組みです。このレッスンでは、クラウドの基本的な考え方とメリット、そして 3 つのデプロイモデルを学びます。
クラウドコンピューティングとは
クラウドコンピューティングとは、サーバーやストレージ、データベースといった IT リソースを、インターネット経由で、必要なときに、使った分だけ支払う形で利用できる仕組みです。
例えば、Web サービスを動かすにはサーバーが必要です。従来はそのサーバーを自分で購入して用意する必要がありました。クラウドでは、Amazon Web Services(AWS)のようなクラウド事業者が用意した設備を、インターネット越しに必要なだけ借りて使います。
クラウドの特徴は、次の 3 つのキーワードで整理できます。
- オンデマンド(必要なときに、必要なだけ、すぐに使える)
- インターネット経由(手元に機材を持たず、ネットワーク越しに利用する)
- 従量課金(使った分だけ支払う。英語では pay-as-you-go と呼ばれる)
オンプレミスとの違い
クラウドが登場する前は、企業は自社の施設にサーバーなどの設備を設置し、自分たちで購入・運用していました。この従来型のスタイルをオンプレミス(on-premises)と呼びます。
オンプレミスとクラウドの違いを整理すると、次のようになります。
オンプレミスでは、サービスを始める前に必要な設備をすべて見積もって購入しなければなりません。ここには次のような課題があります。
- 大きな初期投資が必要:サーバーやネットワーク機器をあらかじめ購入する
- キャパシティの予測が難しい:多く用意しすぎると無駄になり、少なすぎると足りなくなる
- 調達に時間がかかる:機材の発注から設置までに数週間〜数か月かかることもある
- ハードウェアの保守が自社の負担:機器の故障対応や交換まで自分たちで行う
クラウドでは、設備を自分で所有しないため、こうした課題に悩まされずに済みます。利用者は必要なリソースを数分で用意でき、使った分だけ支払えます。
オンプレミスとは「自社の敷地内(on the premises)」という意味です。サーバーを自社の建物の中に置いて運用することから、この呼び方が使われています。
クラウドの主なメリット
クラウドを使うと、オンプレミスでは得られなかった多くのメリットが生まれます。代表的なものを 4 つ見てみましょう。
俊敏性(アジリティ)
新しいリソースを数分で用意できます。オンプレミスでは数週間かかっていた準備が、クラウドでは数クリックで完了するため、アイデアをすばやく試せます。
コスト最適化
設備を買い揃える固定費から、使った分だけ支払う変動費へと切り替えられます。先に大きな投資をする必要がなく、無駄なコストを抑えられます。
スケーラビリティ
需要に合わせてリソースを増減できます。アクセスが増えれば拡張し、減れば縮小することで、必要な分だけを使えます。
グローバル展開
世界中に広がる AWS の拠点を使い、数分で別の地域へサービスを展開できます。利用者の近くにシステムを置くことで、応答も速くなります。
AWS には、これらをさらに体系化した「クラウドコンピューティングの 6 つのメリット」という考え方があります。これは後のレッスンで詳しく学びます。
デプロイモデル
システムをどこで動かすかという観点で、クラウドの使い方は大きく 3 つのモデルに分けられます。これをデプロイモデルと呼びます。
| モデル | 説明 |
|---|---|
| クラウド | システムのすべてをクラウド上に構築・実行する。クラウドのメリットを最大限に活かせる |
| ハイブリッド | クラウドと、クラウド外にある既存の設備(オンプレミスなど)を接続して連携させる |
| オンプレミス | 自社の施設内で完結させる。仮想化やリソース管理ツールを用いる構成はプライベートクラウドと呼ばれることもある |
ハイブリッドは、すでにオンプレミスに投資している企業が、既存の設備を活かしつつクラウドへ段階的に広げていきたい場合によく選ばれます。
オンプレミス(プライベートクラウド)は、クラウドコンピューティングが持つメリットの多くを得られない点に注意しましょう。設備を自社で持つため、初期投資や運用の負担は従来どおり残ります。
まとめ
- クラウドコンピューティングとは、IT リソースをインターネット経由で、必要なときに、使った分だけ支払う形で利用する仕組み
- オンプレミス(自社で設備を所有・運用するスタイル)と比べ、初期投資が不要で、数分でリソースを用意できる
- 主なメリットは、俊敏性・コスト最適化・スケーラビリティ・グローバル展開
- デプロイモデルには、クラウド・ハイブリッド・オンプレミスの 3 つがある
問題に挑戦